トピックス・2001年5月27日
林司法書士・土地家屋調査士事務所

日々雑感 「第三の波」


第三の波

                     林 善彦

 今、アルビン・トフラーの「第三の波」(アルビン・トフラー (), 徳岡 孝夫 (翻訳) 文庫 (1982/01/01) 中央公論新社)を読み返している。司法書士になりたての頃、読んだ本である。

第一の波は、農業革命で、漁労・狩猟民族を農耕民族に変えた。この農耕社会の文明は、土地に基礎をおく定住生活である。第二の波は、産業革命で、農民を工場労働者に変えた。18世紀、イギリスのワットが発明した蒸気機関によって、工場生産が急激に発展していく。この工業社会の文明においては、自然が蓄えていた化石燃料をエネルギーとして消費し、人口が都市に集中し、工場では製品を大量生産するために、規格化・分業化が行われた。第三の波は、1960年頃からコンピュータをはじめとする新技術が開発され、新しい生活様式・考え方・制度を産み出していく情報革命である。この情報化社会においては、仕事面では人間性の回復、単純労働からの解放、創造的な労働環境作りといった多様化に対応する動きが生じてきた。この象徴として、シリコンバレーにおける新しい産業の台頭、ロボットを活用した無人化工場、多品種・少量生産 、地方分権 、自由化・個性化・多様化、フレックスタイム制などがあげられる。

今読み返してみて、最近トフラーの言っていることが実感してきた。我々の業界にも第三の波が今まさに押し寄せてきている。乙号オンライン、電子証明も始まり、E−メールでの打ち合わせ、書類のやりとりは、日常茶飯事になってきた。甲号オンラインも時間の問題であろう。こんな時代になろうとは、仕事を始めた20年前には予想もしていなかった。今後、10年、いや5年の間には、もっと大きな波が押し寄せてきそうな気がする。サーフィンは苦手な私だが、その波にのまれないよう、うまく乗っていきたいものである。 

(滋賀県司法書士会会報掲載)


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